初生牛犢な娘へ

インコは以前から謎解きゲームが好き。前回は歌舞伎町で遊んできたそうだ。今回行くのは花やしきだと聞き、きっとお子様にも優しいお遊びじゃなかろうかと勝手に思い、社会勉強になるからと頼み込んで連れて行ってもらった。ところが一般向けのものがしっかり用意されていて、当然ながらインコはそっちを選んだ。早速問題を見せてもらったが、着想の糸口すら見つけられそうにない鉄壁さに、かささぎは正直たじろいだ。想像してたのと全然違ってて、一瞬で戦意喪失。もうちょっとカッコいいとこ見せられるはずと思っていたので自分にがっかりした。暑くてグダグダだし、興味失せちゃったし、たぶん目もどんより死んじゃってたと思うのだけど、そんな情けない母親に腹を立てるでもなく見捨てるでもなく、インコはゲームを徹頭徹尾楽しんでいた。自分が楽しむだけじゃなくかささぎにも楽しんでもらおうと気を使っている。あれっ、こんな優しい子だったっけと思った。
ついでに言うと入場料はインコ持ちだった。バイト代で親を遊ばせてくれたことに感謝。

成人式の前撮りというのをやった。なんでそんな面倒な事わざわざするのだろうと思っていたのだけど、実際やってみて、これはとってもいい方法なんだってことがよくわかった。時間をかけて大量に何ポーズも撮るものだから、まだらに日焼けした筋肉隆々の被写体でも可愛いらしい奇跡のショットがちゃんと何枚か撮れる仕組みになっている。最後は日本刀まで持ち出し、コスプレ気分に大いに盛り上がった。アルバム用写真選びも楽しませてもらったが、あれは母親の特権だ。ご褒美だ。自己満足だ。それにしてもプロの美容師とプロの撮影師ってすごいな。つい選び過ぎて予算を大幅に超えてしまった。
ついでに言うと髪飾りはかささぎがちりめんで手作りしたやつ。老眼にはきつかったが頑張ったかいがあった。

インコは今年の誕生日で二十歳になる。体力あるし、働けるだろうし、やりたいことは自分で見つけていけるだろうし、と思う。

実際本人も「車で轢かれても死ぬ気がしない」と訳わかんないことを豪語している。
中国語で言う「初生牛犊不怕虎」状態。若さだけが取り柄だが、素直さを忘れなければ、きっとそれだけで当分はやっていけるはず。
 
ということで、かささぎは偉ぶってインコの前に立つのをやめようと思う。
知識も経験も大したことないかささぎが、親っぽく取り繕ってまでやってあげられることは出尽くした。もう出がらしだ。幸運なことにインコの周りには尊敬する先生と素敵なお友達がいてくれる。
後ろに引っ付くのもやめようと思う。インコに頼ったり甘えたりするのが癖になっては老化が進む。

ということで、まずは押しつけがましく「お母さんはね」と言うのをやめる。
「あたし」というのもなんだかしっくりしない。
よって、今後は「わし」と言うことにした。

インコ曰く、高校の時はそうでもなかったが、大学に行ってから、周囲の友達とそれぞれの生い立ちや家庭の事情や親の話をする機会が増えたそうで。かささぎの話になると大抵「変わってるね」と言われるそうだ。
さすがにバレた。これからは遠慮なく地を出せそうです。

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