中国 我的団長我的団 「瘋狂」で「阿Q」な「一言難尽」ドラマ

我的団長我的団」というドラマ。今年3月に最初の放送があった。ちょうど友人が泊まりに来ていて「どうしても外せない」と言われチャンネルを譲ったことがある。インコはむくれた。このドラマは放送前から前評判が高かった。人気ドラマ「士兵突撃」のときと同じ、原作が蘭暁龍氏、監督が康洪雷氏という黄金コンビであったし、王宝強クン以外のほとんどの俳優が再度出演しているということで「士兵」ファンにとっては垂涎の期待作だった。

インコがむくれたのには訳があった。何度かチラッと見たことがあったから。ちょうど激しい戦闘シーン。本当にどっかんどっかんやっているシーンだったから相当怖かった。またその激しさ、乱暴振りが、子供の目にはただの自然破壊に映ったらしい。どうしても許せなかったのだ。(ちなみに映画「レッドクリフ」でも担当した韓国のハッパ専門家によるリアリティを追求した賜物ということ。言い方を換えれば、その迫力は非常に見ごたえがあると言える)

中国ですからいつものパターン。日本と中国が戦う話。正確に言うと、中国語では「滇西抗戦dianxikangzhan」、日本語では「ビルマの戦い」と呼ばれる戦争の話で、時代は抗日戦争後期、場所はビルマと「怒江nujiang(サルウィン川)」を挟む国境の小さな町「禅達」(ネットによると雲南省騰冲というところらしい)。主人公は国民党が組織した中国遠征軍「川軍団」に加わった個性ありすぎの野郎ども。

この放送が終わったすぐ後にドラマ「潜伏」が放送された。よく比べられていたが、世間では「潜伏」の方に軍配を上げた。潜伏の主人公はゆるぎない共産党員。「我的団長…」はいくら抗日に命をかけたといっても国民党の軍隊。限界かもしれない。ただ「滇西抗戦」を取り上げたということ、怒江を挟んで戦い、日本軍の進軍を食い止めた中国人の存在を知らしめたと言う点では評価が出た様だ。

「我的団長我的団」。ちょっと長いので中国では「団長」と略されることも多い。団長と言ったって応援団長じゃない。以下、百度の説明。
この説明では「団長」は日本の「大隊長」に該当するらしい。
国民党軍の構成は:
集団軍―甲種師(軍)―師・旅―甲種団―団―甲種営―営・連―排―班
日本軍の構成は:
軍―師団―旅団―連隊―大隊―中隊―小隊―分隊・組
ちなみに解放戦争中の解放軍は:
縦隊―師―独立師―独立旅・主力団―団―主力営―営・連―排―班

このドラマを初めて見た時。ダメ。丁度夜のシーンで真っ暗。その次に見かけたときは延々と続く砲撃シーン。その次見たときは主人公の一人「孟煩了」が恋敵「張立憲」と殴り合いをしている所。このドラマも長い。全部で43話。やはり最初からちゃんと見ないとダメだと思った。

せっかくの国慶節。中国でお祝いしているのだからかささぎも何かやろうと思った。それでドラマ鑑賞。「対手」45話、「滄海」44話、「虎胆雄心」42話。どれも長くて居眠りしながら見た。これでかささぎの今年分の洗脳はOK?

と言うことで結論。やはり「団長」が一番面白い。「団長」では居眠りなんかしていられない。

見所は沢山ある。
「川軍団」と言っても四川省出身者ばかり集めたわけではない。中国各地から兵隊として参加していたが何度も何度も戦争に敗れボロボロになった「潰兵kuibing」の寄せ集めだった。個性も豊だが、方言もバラエティに富んでいる。方言って面白い。字幕があるから分からなくなることはない。

漢字二つで言うと「瘋狂fengkuang」。設定が共産党ではないからか、おもいきりハチャメチャ。体を真っ黒に塗って森を走り回って戦うところ、尋常じゃない。そして「俺達はパンツで勝った」と言う、滑稽だ。異常に高いテンションが延々と続く。可笑しくて悲しい。ドラマの端々に「阿Q正伝」と同じ中国流の風刺が溢れている。川を挟んで日中両軍が歌合戦、踊り合戦をするところなど、戦争を忘れて人間を楽しむしかない。

演技がうまい。例えば若い兵士「豆餅」。「小兵張嘎」の主人公だった男の子(もう大きくなっていたけど)。死にそうになってるところ、本当の死人に見えた。団長が「とり憑かれている」ところも異常でよろしい。ここまでやるかと言うほどの捨て身の演技が続く。

登場人物がそれぞれ魅力的なのは「士兵」と同じ。見ているうちにどんどん引き込まれる。
巷で人物評価の一番高かったのは「兽医」。交戦中、胸を打ち抜かれて苦しむ日本兵に這い寄って「日本娃」と呼びかけてあげる優しさは、確かにみんなに好かれる。「好人haoren」の代表。
全ての人物がとても生き生きしている。逆に言うと極限の舞台だからこそここまで極端な表現ができたのかなあと思う。

「士兵」の俳優がどんどん出てくる。共産党かぶれの青年役は「馬小帥」だったし、最後の最後には「成才」まで登場する。

武器が沢山出てくる。日本軍から奪い取った兵器を中国軍が使っていたこともよくわかる。武器についてかささぎはお手上げ。覚えたのは「三八大盖」、日本語で三八式歩兵銃。

団長に綽名がつけられた。「八嘎(ばか)」じゃ足りないから「死啦死啦(コト切れたとかぶっ殺すとかくたばれとか)」にしちまおうぜ、って。へんちくりん日本語がこんなところにも…。孟煩了が言う。「后来在我的余生中,最爱看抗战老片。一旦屏幕上的日本兵大叫死啦死啦,我就从心里开始笑」。このセリフで孟煩了の「一言難尽」な気持ちがわかる。軽蔑から尊敬まで。(もしかしたら「変な日本語」の存在にまで嘲笑の矛先を向けているのかもしれない。)この綽名の意味はつらい経験と共にどんどん膨らんでくる。言葉って、しゃべる人の気持ちが変ったとき、全く別の意味になるという良い例だと思う。「死啦死啦」の連発がいやみに聞こえなかった。それどころか、主人公に怪しい日本語の綽名を付ける作者のセンスと、それをうまく処理した監督の腕に感心する。

張芸謀氏や陳凱歌氏の恩師という権威ある人物がネットで辛らつな批判をした。服がおかしい、ロケ地がおかしい、小道具から兵士の言動までの何もかもがおかしいじゃないかというもの。新聞にも載った。当時を知っている年長者にはこの「瘋狂」ぶりが堪えられないかもしれない。

ドラマと小説では内容に違いがあるらしい。興味のある方は小説もどうぞ。ちなみに上下巻に分かれている大作らしい。

残念だったこと。抗日戦争の時代に、「上を向いて歩こう」の曲を流してしまったのは惜しい。

気に入った言葉。「健身保国jianshenbaoguo」。健康な体は国を守ることができる。そこまで壮大に言い切られては、かささぎも体を動かそうじゃないか。“中国ドラマ一人祭り”は当分休憩。

説明は百度で。http://baike.baidu.com/view/1392632.htm
動画はこちら。http://video.baidu.com/s?n=1&word=%CE%D2%B5%C4%CD%C5%B3%A4%CE%D2%B5%C4%CD%C5
にほんブログ村 海外生活ブログ 北京情報へ
にほんブログ村

"中国 我的団長我的団 「瘋狂」で「阿Q」な「一言難尽」ドラマ" へのコメントを書く

お名前
メールアドレス
ホームページアドレス
コメント