中国 ドラマ 士兵突撃 許三多 「自由的味道…很硬」

中国のドラマは暗い。ストーリではなく、画面が暗い。オープニングを見ただけで暗くて怖い印象を受けるものが多い。だからインコはびびる。「こんなの見ちゃだめ!」と絶叫する。抗日ドラマ「亮剣」の時もそうだった。

07年夏に北京にやって来たとき、「士兵突撃」はもう流行っていた。途中チラッと見かけることがあったが、こんなものが流行るとはさすが中国だわいぐらいに思っていた。全く興味が無かった。

このドラマのエンディングは恐ろしい。登場人物たちがさびしそうに振り向いて微笑んだりするのだ。ああ、この人たちは全部死んでいくのだ。そう思った。

そのうち、何かの拍子に「士兵突撃」第一話を偶然見た。爆弾だかなんだか知らないがドッカンドッカン飛んで来る。主人公「許三多」が高い所から落ちて血を吐いて動かなくなる。ああ、やっぱり死んだ。一話からこんな感じでは怖くて見てられない。そう思った。

そんなにも恐ろしいドラマなのにやっぱり見てしまったのは、東京で何とかという賞を貰ったとどこかで聞いたから。
中国国内の有名な賞も受賞しており、新聞で話題にもなった。
それで、見てみた。

主人公は王宝強という若くて個性的な俳優が演じる「許三多」。
田舎者で、要領が悪くて、みんなのお荷物で、どじでのろまな亀。
だから、「軍隊もの」に抵抗のある人は、「スチュワーデス物語」と暗示をかけて見るといい。最後は優秀な兵士に成長するお話だ。違う所は登場人物はほとんど「小伙子xiaohuozi(青年)」ばかり。女性は出ない。だから恋愛も一切なし。

許三多が血を吐くのは第一話の最初から10分ぐらいのところで、そのあとから牧歌的な?子供時代から話が始まる。だから本当は全然怖くなかった。それどころか許三多の父親のキャラで笑いが止まらなくなるほど楽しい話なのである。

誤解のないように言って置くが、軍隊の青春ドラマを見たからといって、軍隊万歳というわけでもないし、かささぎは今日から「紅色hongseおばさん」になりますというわけでもないし、明日軍事学校に願書を出しますというわけでもない。

当然ながら突っ込みどころは幾らでもあるが、それでも見る価値は充分にあるドラマなのである。
先ず登場人物がそれぞれよく作られている。史今班長、馬班長、伍六一副班長、高城連長、団長、袁朗隊長、成才、斉桓、主人公父親の許百順、どれをとっても魅力的だ。特に若い男が数多く出演しているのがいいねえ。

ドラマに使われている音楽もいい。かささぎは「菊次郎の夏」を見ていないのだが久石譲氏のピアノ曲も使われていると思う。広い草原で流れるところなど、上手に使われている。

笑いも忘れない。細かい所まで面白い。

名言が多い。四川の地震のときにも使われた言葉「不抛棄bupaoqi,不放棄bufangqi(諦めるな)」は余りにも有名だが、他にもある。以下親子で拾ってみた言葉。

許三多:「有意義的事,就是好好活。好好活,就是做有意義的事」。(意義あることとは立派に生きること。立派に生きることとは意義あることを行うこと)

馬班長:「別混日子。小心譲日子把你們給混了。」(無駄に過ごすな。生活の中で自分を誤魔化さない様に)

三連の指導員:「我信一種,有情有義的兵。」(私が信じるのは情けも義もある兵だ)※まだまだへなちょこな許三多を指導員がちょっと見直した時の言葉。

団長:「想要和得到,中間還有両個字,那就是要做到。」(「何かをやりたい」とそして「それを手に入れる」の間に入る言葉。それは「やり遂げる」という言葉だ)
你只有做到,你才能得到嘛。」(やり遂げなければ手にはいらないだろ)

史班長:「人家靠意志,不是数字。」(そいつは意志でやり遂げたんだ。数字に頼ったのではない)※優秀だった兵士の例を出して徐三多を叱咤した時。数字の為に頑張るのではなく自分の意志を貫けといいたかったのだと思う。

史班長:「有些事儿,受点傷才能明白。」(傷つかなければわからないものもある)

伍六一:「偸奸耍滑,不是機会。」(小汚いまねをして得るものは、チャンスではない)

成才:「到嘴的饅頭咱都不吃?」(目の前のチャンスに食らいつかないのかい?)※中国ではもうすぐで食いつけそうなたマントウを目の前のチャンスにたとえる時がある。

団長:「人不是做出来的,那是靠活出来的。」(立派な人間とは作ろうとしてつくれるものではない。それは生きていくうちに出来上がってくるものだ)

袁隊長:「你的戦友,甚至你的敵人,需要你去理解、融洽和経歴。」(戦友ばかりでなく敵であっても、理解し、共になって経験する必要がある)

成才:「回去找自己的枝枝蔓蔓了。」(〈無味乾燥な三連5班に〉戻って自分の枝葉を捜してみるよ)※夢をかなえるために全てを棄ててきたやり方が間違いだと気が付いた時のセリフ。

許三多:「我無法明白戰斗的榮譽。」(自分には戦闘の誉れがどうしても理解できない)※国境で麻薬販売人を殺して立ち直れなくなった時のセリフ。

伍六一:「這是舒服,簡直太舒服了。不敢太偸懶了。」(ここは楽だ。楽すぎる。怠けたことはしたくない)

許三多:「人不能過得太舒服,太舒服了会出問題。」(人間は楽すぎてはいけない。楽すぎると良くないことが起こる)

袁隊長:「人啊,最難搞懂的就是真假。」(人間で一番難しいことは真偽を見極めること)

このドラマは初回の放送で人気が出なかった。その後ネットで流されて若者から絶大な支持を得た。
かささぎがほんの少し抜粋したくらいでは、このドラマの凄さがわからないだろうと思うが、もし機会があったなら、毛嫌いしないでぜひ見て欲しいと思う。袁隊長のセリフではないが、まずは体験してみてから答えを出しても遅くはない。

百度の説明http://baike.baidu.com/view/898699.htm
中央テレビ動画http://space.tv.cctv.com/podcast/shibingtuji

ドラマを見ていると階級や制服が気になってくる。
階級「尉等weideng」は少尉、中尉、上尉がある。肩章は一本線の上に星の数で表す。星は多いほうがえらい
校等xiaodeng」は少校、中校、上校、大校がある。肩章は二本線の上に星の数で表す。星はやっぱり多いほうがえらい。
それより上は将軍なんだって。
(余談だがたまに近所で中校の制服を着た女性とすれちがうことがある。)
主人公許三多は、新兵で何も付いていないところから、22歳で一級士官になる。
肩章とはだいたいこんな感じ。
http://hi.baidu.com/ccjyx0827/album/item/5ac3c7dda16fddfb8c102957.html#IMG=cf6dc83fb092dace55e72348
制服の写真。
中国軍網http://www.chinamil.com.cn/site1/2007ztpdb/2007qjhcsjf/
百度http://baike.baidu.com/view/828347.htm#2

このドラマを全て信じてはいけない。所詮ドラマ。本当の「士兵」に昇格するためには大変な試験があるらしい。へなちょこで弁がたたない許三多レベルでは昇格できるものかという意見をネットで読んだ。
信じてはいけないと思いつつ、許三多のお給料を計算してみた。隊長から20万元を借りる。返済は全ての給料を当てて17年と4ヶ月かかるという(閏年無しで)。という事はひと月1千元にもならない?2006年の設定というけどそんなに安いの?

一番好きな場面。息子の三多を退役させるため父親が軍にやってくるところ。三多の戦友達が何とか阻止しようと頑張って、最後は勝手に戦車を出して父親を乗せご機嫌取りを計る。案の定父親大喜び。写真を撮りまくる。チーズっていうんだから「茄子qiezi」が普通なんだけど「lv~」を連発。かわいらしい。

時々どの登場人物が好みかという話になる。インコは史今班長がお好みだ。そうだろうと思った。嫁に行きたいという。行ってみろ。いけるもんなら行ってみろ。昔太陽に吼えろを見てどの刑事がかっこいいか同級生と話していたかささぎレベルと変らないじゃないか。

タイトルにつけた「自由的味道…很硬。」は三多のセリフ。朴訥とした彼が話すと詩のようにも聞こえる。「自由」に硬い匂いを感じるのは中国だけだとは私は思わない。

にほんブログ村 海外生活ブログ 北京情報へ
にほんブログ村

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 7

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
面白い
ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス

この記事へのコメント

Tina
2010年06月30日 20:19
はじめまして。。。
私は学校の宿題を書くために、あなたのブログを見ました。私もこのドラマが大好き>-<
特に、班長の史今
かささぎ
2010年06月30日 23:22
Tina様:コメントありがとうございます。このドラマ、本当にいいドラマだと思います。日本ではまだまだ韓流ドラマが主流ですが、大陸ドラマももっと紹介されてもいいのにと、いつも思っています。またお立ち寄りください。

この記事へのトラックバック

  • エアマックス 95

    Excerpt: 中国 ドラマ 士兵突撃 許三多 「自由的味道…很硬」 北京で勇気十足/ウェブリブログ Weblog: エアマックス 95 racked: 2013-07-10 04:45