北京で勇気十足

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zoom RSS 茶館 老舎 ドラマ 「莫談国事」

<<   作成日時 : 2012/11/29 12:16   >>

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以前老舎記念館のことを書いていたら、そこにコメントを頂いたことがあった。一連のニュースで落ち込んでいたときだったから、正直ハッとした。

そうそう、北京は楽しいところだった。

そうだ、老舎を読もう。「茶館」にしよう。難しそう、悲しそう、なんてつべこべ言わずに。

老舎の書いた脚本はこちら。中国のお話によく求められる“英雄”は一切登場しない。執拗な鼓舞も刺激的なシュプレヒコールもない。と言ってほっこりする話でもない。キーワードは“社会缩影”。茶館に集まる人々の様子から当時の中国が垣間見える仕組みになっている。
http://www.douban.com/group/topic/27260220/

実際の舞台を見てみた。
話劇はこちら。人民芸術劇院40周年記念公演。脚本のイメージ以上にあっけらかんとした小丁宝を演じていたのは宋丹丹さんだった。舞台の雰囲気が最高に素晴らしい。
http://www.youku.com/playlist_show/id_2941829.html

新版の話劇茶館はこちら。秦二爺を演じたのは、大好きな楊立新氏。
http://www.tudou.com/programs/view/FB6NH1WXj_0/

百度には、宋丹丹さんが康順子を演じた新版もあると説明が出ていたのでぜひ見てみたかったのだけど、結局見つけられなかった。

劇を見ていていいところは、笑いどころがわかること。老舎はここに笑いのツボを仕掛けていたんだなあって気づくことができる。
例えば、第2幕のシーンで。
王利发:唐先生,你那点嗜好,在我这儿恐怕……
唐铁嘴:我已经不吃大烟了!
王利发:真的?你可真要发财了!
唐铁嘴:我改抽“白面儿”啦。(指墙上的香烟广告)你看,哈コ门烟是又长又松,(掏出烟来表演)一顿就空出一大块,正好放“白面儿”。大英帝国的烟,日本的“白面儿”,两个强国侍侯着我一个人,这点福气还小吗?
ここで、観客から笑い声が起こる。大烟はアヘンで、白面儿はヘロインのことだからとってもネガティブな話題なのだけど、それを笑いに変えてしまうところが凄い。

………
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そして、ドラマ版の茶館。2007年撮影、2010年放送。39話。

話劇のストーリーよりさらに膨らんでいる。話劇の中の登場人物は、中心人物と“小人物”とに分けて説明されることが多いが、このドラマの中では、おなじみの人物はもちろん、新しく登場する人物の一人一人までが深く描写されている。“小人物”なんてもう片付けていられないほど、どこを見ても面白かった。

お互い助け合う気持ちのいい人間関係も描かれているが、逆に不愉快な、どうすることもできないホントにやり場のない関係もたくさん出てくる。それでもどんどん見てしまうのは、まるで「渡る世間は鬼ばかり」みたい。「嫁と姑の関係」が終わりのない永遠のテーマであるように、このドラマでは「権力を握る者と虐げられる者の関係」が永遠に続く。他にも女子供を誘拐して売り飛ばす話とか、麻薬の話とか、お墓の盗掘とか、貧富の差の問題とか、ニセがねとか嫁取りしたくてもできない話とか出てきて、なかなか中国らしい“社会缩影”になっている。

忘れてはいけないのは、茶館に大きく掲げられた「莫谈国事」の字。すべてを暗示しているので言わずもがな。常四爺の生き方は今の時代だってそう簡単に真似できない。

老舎が描いたのは「譚嗣同が死刑になった1898年(戊戌)初秋から、日中戦争後で国民党特務とアメリカ兵が幅を利かせていた頃」の北京、とある。その戊戌の政変からもう百年も経っているのだけど、このドラマを現代の“社会缩影”と置き換えて見ても共通するところが多い。根本的なところは変わってなんかいない。

それに悪役の面々である、宋恩子と呉祥子の子供が小宋恩子と小呉祥子として、劉麻子の子供が小劉麻子として、唐铁嘴の子供が小唐鉄嘴として、 二徳子の子供が小二コ子として、代替わりしながらやっぱり権力をひけらかしたり悪事を働いたりするところも、“社会缩影”の一部であり、こういうところも中国の運命なのかな、って思えてくる。

主人公の王利発はまじめ一辺倒の人じゃなくて時にあくどいこともやってのける。たとえ狡賢いといわれようと、これぐらい知恵を働かせないと、中国の厳しい社会では生き残っていけない。王利発の交渉術は、武力をひけらかす衙门の前でこそ歯が立たなかったが、ほかの場面ではとても効果的だった。台詞回しが面白かった。

なるほど、と思った台詞もある。王利発だけじゃないけど。例えば、
「害人之心不可有,防人之心不可无…你太嫩了」とか
「好汉不吃眼前亏。破财免灾」
「大炮一响,黄金万两」
「前怕狼后怕虎的,什么事儿也办不成」
「不信邪,才能辟邪」
「凡是官差追的人,都是好人」
「喊喊口号就能救国?悟性太差,哀哉,悲哉」
「都是骗子,就看准能骗得过谁了」

このドラマはストーリーもよかったが、俳優陣も素晴らしかった。名優・陳宝国氏が演じた王利発が良かった。他の登場人物もそれぞれに魅力的だった。常四爷は王掌柜の良き友人として存在感があったし、王掌柜との掛け合いをやる秦仲义も上手かったし、意外と重要なポジションだった大傻楊もイケていたし、目の上のたんこぶ・大舅妈も、捉えどころのない庞太监もその甥っ子・老丫头だって良かった。悪徳役人・宋恩子、吴祥子も憎たらしくてホントお見事だった。

でも、一番気になったのは、小鳥好きの松二爺。大事に飼っている小黄雀儿を「多么体面呢」って眺めているところなんて抱きしめたくなっちゃう。生活力のない没落旗人で家族に迷惑ばかりかけている人なのだけど、どこかかあいらしい。演じ方がうまいんだろうなあ。

それから、黄胖子。というか、彼の腕におとなしく止まっている鷹。黄胖子が鷹の肩を撫でるたびにため息が出た。ウチの屁屁ちゃんなんてなかなか触らせてくれないんだから。
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鷹といえば、北京にいたとき、自転車のハンドルに鷹を止まらせて走っていた青年を見かけたことがある。小ぶりだからきっとチョウゲンボウの仲間なのだろうと思うけど、自慢げな青年が羨ましかったなあ。

最後に。このドラマは面白いし勉強になるし“老北京”の世界を疑似体験できて、かささぎは本当に楽しかったのだけど、筋金入りの北京っ子からみれば、まだまだ不十分らしい。監修が行き届いてないという声もある。
例えば、扳指banzhiというごつい指輪みたいなものがあるのだけど(ほんとは弓を引くときに指にはめて使う道具)、その扱いが間違ってるっていきなり突っ込まれている。
“老北京”の世界って深すぎるよ。

………
(ついでに。これは前門西側にある老舎茶館。いつか入ってみたいと思うのだけどなんとなく踏ん切りがつかない。がっかりしたら嫌だなあ。)
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